† of Pupil~瞳の魔力

聞き取ることのできない言語の羅列、理解の範疇を超えた音階、脳内変換できない旋律が、聞こえた気がした。

一二三さんの一撃を倉って気を失っていた幹のまぶたが、微かに震える。

うっすらと、金色の眼を開いた幹の正面で、デュオは目覚めの確認として指をパチ、パチ、と鳴らした。

「おはよう、大竹幹。久しぶりだね」

「で、出た……っ!!」

瞬間、幹の反応といったらすさまじかった。

真輝さんに抱えられていたはずなのに、体のバネなのか腕の力なのか、目にも止まらぬ速さで抜け出すとフェンスに着地。喉を唸らせる。

「なんでここにいるんだい、まさかボクを粛正しに……!」

その双眸が、

「……ン? おや?」

ポカンとしている僕らを、順繰りに見た。大きな人差し指が、間抜けにも頬を掻く。

「ひょっとしてだけど、もしかしてボクは今、なにかとてつもない勘違いを叫んだかな」

僕はうなずいた。

「うん、僕もあまり事態を飲み込めてないけど……幹が状況を勘違いしてるのは、間違いないと思うよ」