精神科に入院してきました。

「神崎さん……かな?」
「はい」

いい加減、移動してきたはいいものの、ここもおかしな人ばかりで、しかもせっかく仲良くなったN辻さんやA本さんがいない寂しさから、叫びだしたい衝動と戦っていた私は、話し相手をみつけたことに安堵した。

「僕、作業療法士のN良っていいます。M先生から、神崎さんの作業療法のオーダーが入っていて、説明させてもらってもいいかな?」

私は、すっかり「元の」私に戻っていた。
つまり。
「ええ、どうぞ」
にっこりと営業スマイルで返し、彼を自分の病室に案内した。

 N良さんは、少し年上の男性で、私に「オーダー用紙」を見せてくれた。
もちろん、折ったり手で隠したり、「患者に見られちゃまずいところ」はしっかり隠していたのだけれど。


 でも。

私には一瞬、見えた。
自分の「病名」。


そこには
 診断名 B.P.Dと書いてあった。




詳しいことは見せられないんだけど~と言いながら、つまりM医師から私に作業療法をさせるようにオーダーがあったことを確認させ、作業療法について簡単な説明を受けた。


 私は彼に、
「病棟変わって、逆にイライラしていたところだったので、話しかけていただいて助かりました」
とほほ笑んだ。


 すると彼は驚いたように、
「え?本館きたばっかり?もう作業療法するの?」
と聞いてくるので、
「いやいや、しなさいて言ってきたのそっちでしょ」
と答えると、
「そうやなぁ」
と、首をひねった。