もう、あれから二か月が経ったんだね。
なんだか、一年前のような気がするよ……


お母さんのことは大好き。
だけどお母さんは、私のことを好きなのか分からない。
お父さんのことは大大大好き。
だけど、ちょっぴり怖い。

お母さんはキリスト教系の宗教を熱心にやっていて、だから私もいろいろと厳しい道徳条件の中で育てられた。
いっぱいあるけど、そう、引き金になったのは
「男性とお付き合いするときは、結婚前提」
「その男性は、ママと同じ宗教の人に限る」
「正常な判断ができる大人になるまで、付き合っちゃいけません」

高校生の時も、大学生の時も、「神様がそう言ってる」って言われたら、なんだか従うしかなくて。
初めて彼氏ができたのは、24歳のときだった。
宗教とか関係ない、人。
だから必死で隠した。
 その人とは悲惨な感じで終わって、次に好きになった人は、とっても年上。
だからかな、「僕は君より早く死ぬから」「親御さんが悲しむから」って相手にしてもらえなくて、ずっとずっと片思い。
 一年くらい、片思いを続けて、ようやく言われた。
「親御さんの理解が得られるのなら、君の気持をお受けします」

だから、頑張ってお母さんに話したんだ。
なのに。




なのに。



お母さんは、いつものように、私を裏切った。
笑顔でオッケーだしておきながら、三日くらいたって、後だしじゃんけんみたいに、



「結婚とか認めてない」



って言ったんだ。


そのとき、気づいちゃったんだ。

ああ、私。
このお母さんがいる限り。
自由に生きられない。ってことに。


そう思ったら、お母さんが話していることも、もう頭には入ってこなくて。
反対されたのに私はニコニコ、母の言葉を聞いて、「分かった」って答えた。
ニコニコしながら、私考えてた。



しっかりしたロープ状のものでないと、身体の重さに負けてちぎれちゃう。
なにかあったかな、ああ、二階に帯があった、あれなら頑丈。

首に巻けないから、そうだね、U字型にして首元で持って、二階の窓辺の布団干しにくくりつけて、飛び降りたら死ねるかな。