精神科に入院してきました。

シャンプーを飲むなんてするわけない、タオルで首なんて吊るわけない。
だってここは病院、そんなことしたらすぐに人が来る、というかシャンプーなんかのんで人生の得になるとは思えないし。


イライラする中、昼食を与えられた。
 照り焼きチキン、野菜サラダにジュース。



残した。もう嫌だと、胃も腸も悲鳴をあげている。



 午後、診察をひたすら待った。
テレビのあるホールにいってみると、車いすの女性とおじいちゃんが座っていて、気まずくて部屋に引き取った。




 そしてようやく、医師がきた。
Mドクターは30代後半から40代の男性で、頭が大きい人だった。
何を話したのかな。


 身の上話。
聞きたがるから話した、ここで抵抗しても意味はない。

彼はひとしきり聞いて、
「うーん、君は普通に社会適応しているような気がするのになあ」
といった。



 たいていこのようなところに閉じ込められている人にはパターンがあるらしい。
そして私はそのパターンには当てはまらず、イベントコンパニオンという職も持っていたし、通信教育の大学にも行っていたし、いたってまともな生活をおくっている、ように見えたらしい。



 驚いたのは、Mドクターも京大志望で落ちて高知大学に入った経緯を持っていたことだった。
 私たちはふたりとも、京大に落ちて、四国の、それぞれ医学部と薬学部に進んだ。



 Mドクターはその後、大学を休学してもう一度京大を受験し、落ちて観念して医者になった。
 私は片田舎で一番でいようと努力して努力して……壊れた。



 皮肉だった。患者と医者として向きっているのが。



私は彼に、筆記用具がほしいと訴えた。
 書くものがないと辛い。箸だってとがっている、シャーペンくらい、ノートくらいかまわないでしょ。


ドクターは許可してくれ、家族に連絡しておく、といって出て行った。



 精神科の診察なんて、雑談だ。
しかも人が嫌がるプライバシーにがつがつ食いこんでくる、雑談だ。