ざくっと精神科の入院形態についてお話ししておきます。
 たぶん、本編にも出てくるから、ここもとばしてくれてもいいよ。
ネットしてたらあっちこっちに出てくる話だし、だから知ってるって人も多いんじゃないかな。

 でもね。
うちの両親は、娘が入院してたにも関わらず、こういうの全っ然知らなかった、知ろうともしてなかった。


だからやっぱり書いておきます。
難しい本から引用しているので、多少本文の言葉変えちゃってます。だって本文そのままだと分かりにくいんだもん。

まず、入院形態は、1995年にできた「精神保健福祉法」という法律によって細かく決められてます。法律の説明は難しいからパス、興味ある人はググってくださいな。

*任意入院(にんいにゅういん)
 本人の同意による入院。
つまり、自分で入院します、いざとなったら私を拘束してもかまいません、という書類にサインして、入院する、ってこと。
 
 これ、精神保健福祉法に基づく入院の中で、一番人数が多いといわれています。
それから、なるべくなるべく、入院はこの「任意入院」にしよう、というふうに、最先端の教科書的には、なってます。
 ……現実?私のいた病院は、「次にリスカしたら保護入院にするで」なんて医者に脅かされたり、実際、任意が嫌でごねてたらあっさり「保護入院」にされちゃった人もいたり、そんな感じ。
 つまり、現実には「なるべく任意入院にする」という「なるべく」の部分の努力はほぼなされていません。もちょっと努力しないと、都会の病院に差をつけられますよ~

*医療保護入院
私たち患者が、「保護入院」と恐怖を込めて呼ぶ形態。
でもまだそこまで怖くない。「保護者の同意」が必要で、本人の同意はいらない、そんな感じ。
 

 だけど教科書的には「精神保健指定医の診察の結果、精神障害者であると診断され、任意入院が行われる状態にないと判定されたものを対象とする」ことになってる。
 
 これってつまり、任意にサインしてもらえるよう、最大限努力したけど、今その人が(たとえば幻覚が見えていて、日常会話が困難、とか、認知症でもはや年齢相応の会話、行動、判断力を失っている、とか)自分の状態も周りも分かんない状態だから、入院しないと本人または周りに危険が及ぶ、って時にするんだよね。

でもまあ、私がいた病院は「本人が任意は嫌といった時点で、保護に切り替える」ところだったので、この教科書にあるような方法では、保護入院はされてません、もっとハードル低い感じ。

*措置入院
ここからは本気で本人の同意も保護者の同意もいらない入院。
アナタも、突然「措置入院です」っていわれたら、ぶっちゃけ逃げ道はありません。

措置入院になるには、「二人以上の精神保健指定医」が判断して、その人が自傷または他人を傷つける恐れがある場合、「都道府県知事または政令指定都市の市長」がその人の入院を決めるのです。私は大阪市民なので、私がこれをされるとしたら、橋本徹さんが責任を持って入院させるってこと。

ね、ぞっとするでしょ?

*応急入院
72時間のリミットつきで今すぐ入院させないと「自傷または他人を傷つける恐れがある場合」、緊急すぎて本人も保護者の同意も得ることができないときに限り「都道府県知事または政令指定都市の市長」が指定した病院に入院させることができるもの。

 とりあえず応急入院、そのあと上記三つのどれかに振り分けられる、ってパターンもあります。

ここまでは日常生活を送っていて、ある日突然だれの身にも降りかかるかもしれない入院です。

参考までに、殺人とか放火とか、「精神障害ゆえに」重大な犯罪を犯した人が強制入院させられる*医療観察法*による入院もあります。