入院二日目

 病院の中の温度は快適だ。
常にエアコンが効いており、春夏秋冬関係がない。
ーーーーがしかし。
この病棟は静かで。
多くの人が認知症で。
老人たちのうち、専用施設に入れなかった者の末路がここにある。
 手足を縛られて。
此処がどこかも分からずに、ああ、叫び続けている、老人たち。


 問おう、あなたは何日に一度、風呂に入るのか。
 問おう、あなたは何日に一度、着替えるのか。

私の長い黒髪は、洗えず梳かれず二日過ごした。
 ようやくブラシが手に入り喜んでいる。
だんだん自分が臭くなる、服を換えていないからだ。

見舞いもケータイも、部屋にテレビすらない。

そう、これが「精神病院」。
首をつってはいけないから、タオルも部屋にない。
身体を傷つけてはいけないから、筆記具もNG.
そのわりに、マイ箸を病室に置かれているのはシュールだ。

箸だってとがって凶器になるのに。
世話のしやすさとQOLの反比例。
そんな言葉を思い出す。


 私は昨日、首をつりました。
失敗したので今、首に痣があります。


2012年9月13日