と、追っていた女が、角を折れた。

この辺りはよく『狩り場』に使うから、その角の向こうがひと気の薄い場所だということぐらい、わかっている。

思っても見ない好都合さに舌なめずりを知らず交えながら、私も角を曲がる。

女の傘が、そこからまたすぐに左へ入ったのが見え、追う。



そして、



「なんなんですか」

「……」

待ち伏せられていた。

ふたつ目の角を曲がってすぐのところでこちらへ向いた女が、鋏を手にしている。

凶器のようでそうでもない、工作用の先が丸い鋏だ。