『やあ、そろそろお皿は洗い終わったかな? ご苦労様』

声はアルのものだが――どうやらこれはただの『使い』のようで、こちらは見えていないだろう。

まさにちょうど皿を洗い終わったところだから、アルの『予想』も大したものだと思う。

こちらが心の中で、なんの用だ? と訊ねるだけの間を空けて、蝙蝠が言う。

『お皿洗いが終わったら、洗濯物を干して玄関の掃除もお願いできるかな。よかったら冷蔵庫の中身も少なくなってるから買い出しにも行ってもらいたいんだけど。

お金は僕の部屋の金庫にあるよ。頼むね――あ、そんなイヤな顔しないで』

すごく面倒くさいとは思ったが、別にイヤな顔はしてない。

やはりこの声は、蝙蝠に伝言を吹き込んだだけの既製品のようだ。