皮肉げに、楽しげに音読し始める。

「昨夜、六月十三日、午前一時。市街地の大木公園で、女性の惨殺体が発見された。女性の身元は近隣の大学に通うノヤマ カナ。二十一歳。

遺体は頭部が砕かれ、首の骨が折られていた。撲殺と見られるが、県警は別方向からの調査を――ふぅ」

と、仁は途中で読むのをやめた。

楽しそうな口調だったくせに、実につまらなげに急速に声のトーンを消沈させ、新聞をテーブルに放る。

その目が、依然入り口のところにいた私へ、じろりと向けられた。

「まったく、お行儀が悪いなお前は」

と、にべも容赦もなく言う。