まだ見ぬ相手を思い浮かべ、もう一度深く溜息を吐こうとしたとき。 ガタンッ 「きゃっ!」 今まで規則正しく上下に動いていたはずの久保姫を乗せた輿が大きく揺れた。 伝わった衝撃で前に倒れそうになる久保姫の体。 そして、輿の動きが止まる。 同時に増した周囲の騒めき。 増えた馬の足音に久保姫は息を呑んだ。 「なっ何事ですか…?」 不審に思い小さく声をかけるも返ってくる言葉はなく。 世話しなく慌てたように狼狽える息遣いが聞こえてくるだけ。