(父上、母上、ごめんなさい。笑窪は親不孝者かもしれません) そう心の中で見えぬ両親に謝罪して。 久保姫は頬にあてられた晴宗の手に、そっと自らの手を重ねる。 そして、小さく頷いた。 「どうか、拐ってくださいまし」 その言葉に晴宗は満足そうな綺麗な笑みを浮かべる。 あの時と同じように太陽を背負いながら。 そして囁く最上の愛。 "一目見たときから、お前だけが欲しかった"