─────────────ドクン



真っ直ぐな瞳。

まるで獲物を捕らえるような、暑く燃えたぎる瞳。


その色に久保姫の体の芯が疼いた。




「私を、ですか…?」




あまりにも堂々とした宣言に久保姫は驚きのまま、ただただ問い掛ける。

知らずのうちに警戒心を捨てていることには、まだお互い気付いていない。



伊達といえば、この地域では有力な家。

久保姫も知らぬはすがない。


いずれこの地を統べるかもしれない家の名を。


そんな家の次期当主が何故自分を拐いに来るのか。

自身にそこまでの価値があるのか、久保姫は不思議でたまらなかった。