家の者に迷惑を掛けるわけにはいかない。


そう、頭ではわかっている。


だが




「顔を、見せてはくれないか?」




その声に、またずくりと心の臓が疼いて。

駄目だと制する理性を遮り、体は勝手にその顔を上げていた。




「…あ、」




そしてその先に見えた姿に、久保姫の全身が跳ね上がる。


ドクドクと速さを増す鼓動。

熱を帯びていく顔。




(…そんな…まさか…)




彼女は、彼を知っていた。

目を細め微笑む太陽を。




「やはり、あの時と変わらず愛らしいな」