「御主、何奴!」 「この輿を止める無礼、承知の上か!」 暫くして外から聞こえてきた護衛の緊迫した声に久保姫の肩が小さく揺れる。 するとその声に合わせたように更に増えた馬の足音。 増えた、などという可愛らしいものではない。 軍勢がすぐそこにいるような、そんな音が響いて。 護衛たちが息を呑むのがわかった。 戦場(いくさば)に出たことがなくともわかる。 人の気配がわからぬほど甘く育てられたわけではない。 外に広がるは多勢。 それも、相手に出来ぬほどの。