架名は、秋夜が落とした物を拾い此方へ歩く。


「千尋、何時まで呆けてんだよ。」

「秋夜が、居ない。」

「はぁ…、ほらよ、俺にゃ要らんからやるわ。」


そう言い渡された物は古びた手記。秋夜の、残した物。

俺はそれをポケットに押し込み立ち上がる。
思考なんかとっくに正常じゃ無いんだ、と架名の手を引き屋上を出る。

「千尋、何処に行くんだよ、」

「決まってる…、秋夜の、教室だ。お前なら知ってんだろ?」

「…しゃーねぇな、2-A。俺とお前の教室だよ。」


皮肉だよな、と架名は不気味そうに笑って。

駆け込んだ教室には、色んな声が混ざり合い気分が悪くなる。
その中に、花瓶の置かれた席を見付けた。