もう一度 帰って の文字を指さしながら 男を睨みつける 「・・・何かしたなら、ごめん でも、またお前のピアノが聞きたい だから・・・許してくれるのを 待ってるから」 そう言って男は 静かに廊下へと出る もう絶対に、 あの人にはピアノを聞かせない 布団にもぐって あの男を見ないようにする 痛い 体だけじゃなく 心も痛い あの男は、普通の男じゃないけど それでも、私を傷つける人だ 大事な約束を破った、 最悪の人 それは 私の人生にとって とても深くかかわる人だった―。