俺はちらりと伊勢を見た。 相変わらず、大和撫子とも呼べそうな姿。 だが内側は自信に溢れ、気を抜けば喰われそうな油断ならない奴だ。 「今日は家に誰もいないの」 「元々お前しか住んでないだろ、あの家」 「だってお父様がくれるって言うのよ」 「丸々一軒か、そりゃすげえ」 「あなたには言われたくないけどね」 にやり、と笑う。 俺の家柄と顔を見ていて、内面なんざ気にしちゃいねぇが 堂々としたその態度が 女にはもったいねぇ。 もしお前が男なら、 いい仲間だっただろうな。