【Kouga】


予鈴がなり、藤原が慌てて校舎に戻って行った。

全く、変な女だ。



青龍の時の一件だって、今回のことだって、高1にはなかなか荷が重いことだろうに。

あの飄々とした、余裕のある立ち回り。

天然なのか、計算なのか。

はたまた、鈍いのか鋭いのかわかったもんじゃねぇ。


「もし計算なら、なかなかいい女優になれるな」


くっ、と笑って俺はもう一度貯水タンクの影に横になった。

“変な子ね”と、先ほどの陸奥の言葉がリフレインされる。

全くだ。





と、横に放り投げておいた携帯が、静かに鳴った。

メール、差出人はーーーーあぁ、なんだ。

生徒会会計の三年、『伊勢愛香』。


[今日の放課後、お相手願える?]


随分と熱心な求愛活動だ。