【Haduki】


巡ってきました。

今日も素敵な昼休みです。



手に持った紙パックの飲むヨーグルトをすする。

本来立ち入り禁止の屋上は、お約束のように鍵が壊されていて空いていた。

大方、東雲先輩あたりが開けているんだろう。

それにしても、呼び出した人たち遅いなぁ……。



「退屈……退屈……あ、PSP持ってたんだった」

「お待たせしました。藤原葉月さん」

「ちょっと待ってもらえますか、今からテトリスやるんで」

「ふざけないでいただける? 陸奥さんが呼んだのよ」

「あ、もしかして私を呼び出した人たちですか? すみませんでした」



やはりお金持ち進学校。びっくりなことに、とんでもねぇ敬語を使う乙女たちが生息していた。

私はポケットにPSPをしまうと、彼女たちの方を向いた。

リボンは青。三年生。4人。



私がじぃっとみていると、真ん中に立っていた先輩が前へ一歩出た。

私を見下ろすような角度で微笑まれる。

ブラウンのショートカットの髪が眩しい。



「はじめまして、藤原さん。わたしは生徒会会長の陸奥 薫(むつ かおる)。これからよろしくお願いするわ」

「よろしくお願いします」

「紹介しておくと、右の彼女は副会長の山城 真弓(やましろ まゆ)。こちらは書記の霧島 那緒(きりしま なお)、それから彼女は会計の伊勢 愛香(いせ あいか)」

「……豪華メンバーでお揃いですねぇ、一体なんの御用です?」


私がわざとらしく口角を上げると、陸奥さんは眉間にシワをよせた。

私も私で、わかってて聞くんだからたちが悪いけど。



「あなたには、あの人と離れてもらうわ」