「紅我ーっ、そんなとこで何してんのー?遅いよー」

「……菖蒲(あやめ)、名前呼ぶなっつってんだろ」


たたたっ、とテラスから走り寄ってきたのは、髪の毛くるくるのセクシーオネーサン。

胸元のネクタイは青色だから、三年生。ちなみに私たちは緑色、東雲先輩は赤色だ。


「ねぇ、この子知り合い?あなたって新入生代表の子だよね?」


綺麗に施されたメイク。

それじゃなくても目鼻立ちがはっきりしているから、美人さんだ。

急に話を振られたからびっくりしたものの、返す。


「はい、はじめまして!藤原葉月です」

「葉月ちゃんね、よし、覚えた!あたしは河合菖蒲(かわい あやめ)、これでも期間限定でこの子のカノジョやってんの」

「期間限定……」


この子、と親指で示された東雲先輩は罰の悪そうな顔だ。

明らかに、なんでコイツに言うんだよ、と顔に書いてある。失礼な。


「期間限定の彼女って、どういうことですか?!」


珊瑚が驚いて振り返り、期間限定の美男美女カップルを見る。

ちなみに彼女は、新聞部だ。


「詳しく、教えていただけますよね」


彼女の語尾に、クエスチョンマークは存在しない……。

つまり、


「ただの脅しだ……」


私は間違ってない。