『何回かメールや電話のやり取りしていく内に………気になっちゃってね？紀右ちゃん、協力してくれないかなぁ？』


耳元で聞いているハズの乃唖ちゃんの声が、やけに遠い。


まるで何ｍも遠くの人の囁きの様に、辛うじて聞き取れるけど……ケータイを持つ手が震えてる。


『もしもし？紀右ちゃん？聞いてる？』


運動神経以外は自慢出来る物が何も無い私。


美人で明るくて、スタイルもいい乃唖ちゃん。


私の自分への自信の無さは、楓への失礼に直結していた事に


「………うん、聞いてるよ」


この時の私は、分かっていなかった。