「でも…凄いわね。ここって、けっこうな穴場 じゃない?」
「あぁ、そうだな。あんまり人が来てるのは見 たことがない」
サアッと風が髪をなびかせる。
「……さむ…」
汐莉はブルッと小さく震える。
彼女の服装を見ると…下には薄手の淡いピンク のワンピース。
ロングブーツに、白いコート。
コートっつっても、前は閉めてねぇし…ワン ピースのせいで胸元も開いてる。
似合ってるが…この真冬にその格好は寒いよ な。
「ったく、薄着してくるからだぞ」
「だ、だって…。」
俺はむくれる彼女の肩を、さりげなく抱いてみ た。
「っ、」
ピクンと肩を揺らす汐莉。
華奢な体つきに、甘い香り。
サラサラな長い髪。
「……温かい…。」
汐莉は小さく呟き、俺の肩に頭を乗せてきた。

