エレベーターを出て、少し歩くと重そうな扉が あった。
俺はその扉を開け、汐莉を中に入れる。
ビュウッと冷たい風が体を冷やしていく。
「慎也…ここって……」
汐莉は驚いたように、俺の方を振り返る。
ふっ。 やっぱり思った通りの反応だ。
「まだ驚くのは早ぇよ。ほら、こっち来いよ」
俺は汐莉の手を引き、更に足を進める。
そこに広がるのは――…
「……綺麗…」
汐莉は目の前に広がる、東京の夜景を見て、そ う小さく呟いた。
「お前…こういうの好きなんだろ?」
俺は隣にいる彼女を見た。
すると汐莉は満面の笑みで、俺を見る。
「えぇ!あたし綺麗な物とかすっごく好きなの よ~!」
汐莉は柵を掴み、身を乗り出す。

