―――………


「……――せさん。七瀬さん……?」


「うわっ……!!ビックリした!!」


「ゴメン、驚かせちゃった?」


突然、目の前に現れた宮崎君の整った顔。


椅子から転げ落ちそうになったところで、グッと足を踏ん張って持ちこたえた。



「何か考え事?さっきからずっとボーっとしてるけど」


「あたし、そんなにボーっとしてた?」


「うん。何か悩み事があるなら、相談に乗るよ?」


「ありがとう」


宮崎君にお礼を言うと、あたしは椅子から立ち上がってカウンターに置かれた返却済みの本を胸に抱え込んだ。