『良い条件じゃん。もしお互い本気になったら、付き合えばいいんだし』


『あ、ありえない!!ていうか……、魁一があたしを好きになるはずないもん』


『どうして?ていうか、莉奈、入学当初は桐山君のことカッコいいって言ってたじゃん。いつの間にか毛嫌いしてたけど。嫌いになったキッカケでもあったの?』


絢子にそう聞かれて、あの出来事を思い出した。


魁一を嫌いになったキッカケ……か。


あの日のことを思い出して、胸がチクっと痛む。


忘れようとしても、どうしても忘れることのできないあの日のことを……――。



『そんなの……ないよ』


だけど、あたしは首を横に振って否定した。