そんな女につられて微笑み返す男。
男女の間に漂う甘い空気。
なんなんだよ……。
マジ、うぜぇ。
その光景を目の当たりにした途端、なぜか腹の奥底からわき上がる感情を抑えきれなくなって。
体中が怒りに包まれる不思議な感覚。
俺は他には目もくれず、男女の元に歩み寄った。
「……――おい」
俺が声をかけると、莉奈は慌てて俺の方に視線を向けた。
「……魁一」
「テメェ、こんなとこで何してんだよ」
「別に……。魁一には関係ないでしょ?」
「ハァ?関係ないってなんだよ」
さっきまで太陽のような笑みを浮かべていたはずの莉奈の顔から、笑顔がスッと消える。



