「……――魁一君!!なにしてるの~?」 「見て!!桐山君が走ってる!!」 HRを終えたばかりの生徒達が廊下に溢れ、莉奈を探すのは一苦労だ。 俺が横を通る度に甲高い声をあげる女達を無視して走り続ける。 あいつ、まさか一人で泣いてないよな……? 白鳥から嫌がらせを受けて涙を流していたあいつを見て、『何とかしてやりたい』と思った。 あいつを二度と泣かせたくないし、悲しませたくないと思った。 それなのに……――。