「どうしたんだよ」 「な、なんでもない!!」 「ったく。しょうがねぇな」 魁一はそう言うと、不意にあたしの唇にキスをした。 「しょうがねぇからお前の風邪、俺がもらってやるよ」 「……――っ!!」 風邪をもらうどころか、そんなことされたら熱があがっちゃう!! さっきよりも頭がクラクラしてきちゃった。 だけど、なんだかすごく幸せ。 あたしは熱があることを理由に、魁一の腕に掴まるようにぴったりとくっついて歩いた。