「……――頼む。俺には何をしてもいい。だから、こいつだけは見逃してくれ」


「魁一……――」


グッと奥歯を噛みしめて拳を握りしめる。


こんなこと今までの自分では考えられない。


喧嘩を吹っかけてきた相手に許してもらえるように頼むなんて。


しかも、それが自分以外の人間だったらなおさらのこと。


だけど、莉奈を守るためにはこれしかなかった。


誰かに情けないと笑われたっていい。


いくら笑われたとしても、莉奈を守ってやれるならそれでいい。


いつの間にか、それくらい俺の中で莉奈の存在がでかくなっていた。




「……――頼む」


もう一度念を押して頼んだその時、


「……――陸斗、もうやめてくれ!!」


そんな声と同時に宮崎優斗が姿を現した。