「そういえば今日、桐山をやりにいくんだってな」


「桐山って、このあたりでも有名なあの桐山魁一か?」


「あぁ」


「でもなんで桐山を……――」


桐山……魁一……?


二人の会話に魁一の名前が飛び出し、心臓がドクンッと震える。


何……?二人は何の話をしているの……?


普段なら怖くて絶対に近づかない人たち。


でもあたしは彼らの後ろにピタリとつけて、会話に耳を澄ませた。


「……――あの女がたれ込んだらしいぜ」


「あの派手な女?」


「あぁ。桐山魁一が宮崎の弟をやった犯人だってたれ込んだって。あの女に乗せられて宮崎もバカだよな。犯人は俺らなのに」


クックッと喉を鳴らして歩く二人はあたしの存在に気付くことなく、近くのゲーセンに入っていった。