「まずは、女子からプールに入ってもらう。プールに入るときの注意点は……――」


やっぱり……来てないか……。


魁一がまともに体育の授業を受けるはずないし、いるはずないよね。


プールサイドの男子生徒たちの中に魁一がいないか確認して、心の中でため息を吐く。


屋上で喧嘩をしたあの日から、あたしたちは言葉を交わしていない。


元々、遅刻や早退や欠席の多い魁一。


授業をさぼることも多いし、声をかけようと思い立った時には魁一がそばにいない。


教室にいる間もいつも机に伏せて眠っているし話しかけずらい。


手を伸ばせばすぐに触れられる距離にいる魁一が今はすごく遠い。