隣の席の俺様ヤンキー【完】


「あたし……魁一君がずっと好きだったの……」


背中にぶつかったものが白鳥の体だと気付いて、俺はハァと息を吐いた。


腹に回した手に白鳥はギュっと力を込める。



「俺には莉奈が……――」


「分かってる!!だけど、諦められないの。魁一君と七瀬さんが付き合ってるって頭の中では分かっていても気持ちを止められない!!」


「じゃあ、どうすりゃいいんだよ」


「七瀬さんと別れて、あたしと……付き合って!!」


「ハァ?そんなの無理に決まってんだろ」


何言ってんだよ、こいつ。


このままじゃらちがあかない。


腹に回る白鳥の手を解こうとした瞬間、


「……――一度でいいの。ギュッて……抱きしめて?」


白鳥は俺の背中に頬を押し付けながら呟くようにそう言った。


「お願い……。一度でいいの。そうすればきっと、諦められるから」


こんなことになるなら、さっきアキラと一緒に教室に戻った方が100万倍ましだった。