「なんか心配事があるんなら、早く言えよ」


「うん。ありがと」


「それと、元カノのことなんて気にすんな。本気で付き合おうと思ったのは莉奈だけだし」


ハッキリとそう言うと、莉奈は俺から目を反らして視線を下げた。



「……――ねぇ、魁一」


地面に落ちている小さな石ころを革靴の先で蹴飛ばす莉奈。


「どうしたんだよ」


「どうしよう、あたし……」


「だから、なんだよ」


「やっぱり今、あたしすごくすごく幸せだ」


ニコリと太陽のような笑みを浮かべた莉奈。


その笑顔を見た途端、再び鼓動が早まった。