「あのさ、悪いんだけどまだ図書委員の仕事終わってないから」


「お前は黙ってろ」


「桐山君さぁ……――」


すると、宮崎はフッとわずかな笑みを浮かべながら俺を真っ直ぐ見つめた。


「何でそんなに余裕ないの?俺に七瀬さんをとられそうで怖いとか……?」


「ハァ?」


「俺、本気で七瀬さんのことが好きだから」


コイツ、俺に喧嘩売ってんのか……?


「お前さ、俺と莉奈が付き合ってるって知っててそんなこと言ってんだよな?」


「そうだけど?」


「それって、相当なバカか俺にケンカを売ってるとしか思えないんだけど」


「前者か後者、どちらだと思う?」


その挑発的な瞳を見ていれば、どちらかなんて容易に見当がつく。


「へぇ……。上等だよ」


湧き上がる苛立ちを抑えきれずに宮崎のYシャツの襟元を掴んで上に持ち上げる。