ほとんどの生徒は帰宅した後なのか、廊下はシーンっと静まり返り、俺の足音だけが辺りに響く。



「……――莉奈」



図書室の扉を勢いよく開けると、カウンターに座り楽しそうに話す莉奈と宮崎の姿が視界に飛び込んできた。


ちっ。


その瞬間、腹の奥底から黒い感情が湧きあがってきて。


またかよ……。


宮崎と莉奈がしゃべっているところを見ただけで、何故か怒りが込み上げてくる。


「……あれ?魁一、どうしたの?」


不思議そうに首を傾げる莉奈に歩み寄ると、俺は莉奈の手首をぐっと掴んだ。


「帰るぞ」


「えっ?」


「いいから早くしろ」


「魁一?どうしたの……?何かあった?」


椅子から立ちあがった莉奈は困惑しながら俺を見つめる。


すると、隣にいた宮崎がスッと立ちあがった。