ずっと好きだった彼の放ったその言葉がグルグルと頭の中を駆け巡る。


あたし、桐山君に……嫌われてたんだ。


同じクラスだけど、照れ臭くて数回しか言葉を交わしたこともなかったのに。


それなのに、死んでも付き合いたくないって言われるほど嫌われていたなんて。


衝撃と共に押し寄せてくる悲しみの波。


あたし、バカみたい。


彼と目が合うだけで嬉しくなったり、横をすれ違っただけで幸せに浸って。


彼が自分をこんなにも嫌っていたことなんて知らずに……。


『うっ……ううっ……』


あたしは教室に入ることが出来ず、廊下の壁に体を預けてボロボロと涙を流した。



そして、あの日、決めたんだ。


桐山君のことは、もう諦めるって……。


あたしがどんなに桐山君を想っていても、彼は絶対に振り向いてくれないから。




それなのに、魁一はあたしに命令した。


『俺の女になれ』と。