別れとは誰にでも来るもので。


そんなこと、誰だって分かっているもので。


それでも涙してしまうのは、
決して哀しいからじゃない。


切なくて寂しくて、
じわりと滲みてくるそれに
名前などつけられない。


それぐらい複雑で、
自分でもなんで
泣けてくるのかは分からない。



でも、それは嫌な感情ではないんだ。



とても、人間には大切なモノだと思うんだ。



里桜
「どうしようっ。私達まで泣きそうっ」


美桜
「う゛〜、来年部活の先輩が卒業の時、
絶対泣くよっ〜」


慎也
「2人とも貰い泣き?…よしよし」


美樹
「……良い卒業式だね」


雅紀
「………あぁ」




3月1日。



それは高校3年生の別れと旅立ちの日。



だけど、それは
高校3年生だけの特別な日ではない。



保護者にとっても、教師や在校生、
日本の誰にとっても、
大切で想い出のある特別な日。



今日はそんな温かい、
今を生きる希望の日だった。