薬を飲まないことに決めた私は、あっという間に問題児になった。

かけつけた研修医の先生を困らせる。


「お薬を飲んでくれないと、痛ーい注射をしなきゃならなくなるよ?」


無視を決め込んだ私。

胸の痛みに冷や汗をかきながらも、絶対に飲むもんかって。

何の為でもなく、ただの意地で。

大人たちも意地だった。

先生と看護師さん、3人がかりで取り押さえにかかってきた。

私は部屋を飛び出した。

全力疾走したのは、それが生まれて初めてだったかもしれない。