「佐原課長、だ」
「…いいですって、直さなくて。ていうか水木課長に課長って呼ばれるの、なんかくすぐったいし」
「ふふ、どうしてよ。課長だもの。ちゃんとそう呼ばなくちゃ」
あなたたちが、私をそう呼んでくれたみたいに。
「それにしても、久しぶりよね」
私が秘書室に異動してからかれこれ三ヶ月。なかなか忙しくて時間が空かず、第二営業部の皆が送別会をしてくれるという話も進まずにいる。
こんな風に顔を合わせて話すことも、思えば無かった。
…まぁ、休みの日は誰かさんがベッタリだから、というのもあるけど。
「本当、お久しぶりです。最近、どんな感じですか?」
ふむ、どんな感じと聞かれれば。
「…少しずつだけど、馴染んで来たかなぁ」
そう答えるのが正しいかな。
だけど、それは決して私が進歩したのではなく、周りのフォローが絶妙だからだ。
一緒に仕事をして思ったのは、やっぱり高城専務はすごい。その一言に尽きる。
そして、真中室長。彼もかなり有能。
そんな二人に囲まれて仕事が出来るのだから、幾分か余裕が生まれて、仕事を以前より深く、また楽しんで出来るようになっている自分がいる。

