…ダメだわ、頭クラっクラして来た。
そう、あんなの、なんっの気持ちも感情もこもっていないはず。
だから、こんな風に考えるのがおかしいの。
『…さぁ、仕事、仕事』
…っと、その前に。
『専務に会議のこと、知らせなきゃ…』
そう考えて、専務室のドアをノックする。
コンコン
『………』
コンコン
『…………』
ゴンゴンゴン!
『………いないの?』
知らないうちに、どこかへ行ったのだろうか。
『…失礼いたします』
そう呟いて、ドアをそっと開けてみる。
『…やっぱりいない』
どこへ行ったのか。
連絡しようにも、いつも専務が使用しているデスクの上に、ポツリと乗っているのは、悲しいかな、専務の携帯。
『…もう、いつからいないの?』
一言くらい、声をかけてくれればいいのに。
携帯なんて、携帯するためのものなのに、不携帯だし。
時間までに戻ってくれれば、それでいいのだけど。
『…まだ、時間はあるから、大丈夫かな』
そう、そこで諦めずに探せばよかったの。
それから、1時間経っても、私の心配に応えるように、戻ってくる気配は全くなし。

