「…ねぇ、おばあちゃん」
「はい。どうしました?すみれちゃん」
「…聞きたいことが、たくさん、たくさんあるの」
「…うん」
「でもね、…本当は聞きたくないの」
「……そう」
「…おばあちゃんも話したくないかもしれない。……でも、聞かないと前に進めない」
「…うん」
「…だから、…聞いても、いい?」
今まで、誰にも言えず、心の中に秘めていた、疑問。
「…私は、産まれて来てよかった?」
母親には不要とされ、父親には会ったことも無ければ、名前すら知らない。
挙句、育ての親である祖母の素性も知らない。
自分が一体何者なのか、知る権利はきっとあるはず。
苦しい気持ちや葛藤から抜け出して、幼かったあの日から止まったまま、進まずにいる時間を動かしたい。

