本の少し顔を覗かせた彼の優しさに胸が高鳴る。 ________ 嬉しい。 素直に、そう思ったんだ。 私はゆっくり立ち上がって、そっとドアを開けて いつもの不機嫌な顔じゃなくて、心から微笑んで、辻宮を見た。 「……ありがとう、辻宮」 「ああ。感謝しろよ」 相変わらずの俺様なのに。 その時だけは。 それすらも、嬉しかったんだ。