連れてこられたのは、辻宮の私室。



「くそっ……!」



辻宮は苛立ったように吐き捨てて、前髪
をかきあげた。



私はどうしたらいいのかわからなくて、
ただ、辻宮を見つめるだけ。



もしかして……私が、辻宮とお父さんを
あんな状態にしちゃってるんじゃないの
かな……。



私、ここに居るべきじゃないのかもしれ
ない。



だって辻宮のお父さんの言う通りなんだ
もん。



私が辻宮と結婚しても、辻宮に利益なん
てない。



私には人脈も権力も、社会的地位がある
わけでも無いんだから……。



「辻宮……」


「俺の言うことだけ聞けって、言ったろ




辻宮を呼ぶと、鋭い眼差しでこっちを見
てきた辻宮。



思わず、ゴクリと生唾を飲み込む。