もう、我慢ならーん!とそいつの胸ぐらをつかんでやろうと思ったとき。



「ねえ、何をしてるの?」



どす黒い声が聴こえてきて、そいつの手と私の身体が固まった。



とたんに男が小さく悲鳴を上げて、びっくりして後ろを振り向いた。



つ、辻宮ーーー!?



なんとそこには辻宮がいて、冷ややかに男を見下ろしながら、男の手を握っていた。



「何してんだってきいてんだけど。誰の許可を得てさわってんだよ。あ゛?」



「す、すいませんっ……」



「二度とその面見せんじゃねぇ」



その時タイミングよく、お目当ての駅について、私は辻宮に引っ張っていかれた。