「申し訳ございません……。全て出払っ
ておりまして……」
「でも…」
「いーよいーよ、斗真!無い物ねだりし
てもしょうがないしさ!」
「柊……」
私がそう言うと、仲居さんがもう一度、
深く頭を下げて、慌ただしく出ていった
。
一瞬、静まりかえる室内。
「……柊……」
「あ、寝相悪かったらごめんね?」
「そうじゃなくて……。柊は平気なの?
俺と一つ、同じ布団で寝ちゃっても」
「平気だよー?だって斗真だし……信用
してるから……って、斗真?」
斗真の様子がどこか可笑しいのに気づい
て、斗真を覗きこむと。
「俺だから信用してるって、何を?」
と言いながら、斗真が私の手首を掴んだ
。


