「お互いがお互いに可愛いだとかカッコ
いいだとか誉めあって、あれがイチャイ
チャじゃないだと?」


「だって、それは……」


「お前、俺には滅多にカッコいいとかい
わないくせに……」



悔しそうに眉を潜めた辻宮が、不意に、
私の首筋に唇をくっ付けた。



「ちょ……んっ」



その刹那、首筋にピリッと生じた痛み。



なんだったんだろうと思っていたら、も
う辻宮の唇は、離れていて。



「お前は俺のだって事、忘れんな」



真剣な瞳で私を見つめながら、そう言っ
た。



……忘れるわけ、ないのに。



日々を重ねていくごとに、目を背けたい
くらい、頭も心も、辻宮に染められてい
く。



他の人のことなんて……考える暇もない
もん……。