「頬が緩みすぎて溶けそうだよ、秋」



二月の中頃。



いきなり視界に入ってきた隼人が、呆れ
たようにそう言った。



「……は?緩んでないし」



その言葉にハッとして、ちょっと不機嫌
そうに隼人に答える。



ただ、多分無意識に緩んでたのは確かだ
ったから、後ろめたくて隼人の目は見れ
なかった。



そんな俺に、やれやれと言ったようにた
め息をつく隼人。



「……まさか秋が、一人の女の子にここ
まで入れ込むとはねぇ」


「……俺は元々一途だぞ」


「そういう意味じゃなくて。……秋はど
こか、俺と同じ感じがしてたんだけどな
あ……」



ふう、と残念そうに息を吐きながら俺を
見つめた隼人。