慌てて離れようとしても、男の力には敵
う訳もなくて。



私の耳元に唇を寄せた辻宮が、妖しく微
笑んだ。



「……俺はずっとこういう目で見てたけ
どね。美里が気付かなかっただけだろ?



「……っわ、わかったから離れて……」



心臓、壊れちゃうから。



「……顔、真っ赤だけど」


「あ、暑いの!」


「真冬なんですけど」



クスクスと笑う辻宮をちょっと睨んでか
ら、辻宮の車へと向かった。



もうやだ。絶対からかわれてる……。



こんな心臓ドキドキの状態で、果たして
この先やっていけるのかが、心配だった