【完】狼ご主人様と子羊ちゃん





───"大事なんだよ……縁より"



その言葉が、深く、私の心に刻まれてい
く。



「うそ……」


「うそじゃねーよ。もう誰も失いたく、
無いんだよ」



心のどこかでね、きっと諦めてたの。



縁さんの存在よりも大きい存在になるな
んて絶対に無理だって。



どうしてかはわかんないけど、それがす
ごく辛くて、泣きたくなって。



縁さんの存在が怖かった。辻宮が誰をど
んな風に想おうが、勝手なのに。私の知
ったことじゃないのに。



縁さんを想わないで。って。



いつの間にかそう、思ってたんだ。



「美里。お前は"お飾り"なんかじゃない
んだぞ。……わかったか?」



まるで私をあやすように優しく背中を一
定のリズムで叩いてくる辻宮。



そんな心地いいリズムに身を委ねながら
何度も頷いた。