ガラスを拾ったままの手で、立ち上がり、しかも辻宮に腹をたてていた私は、ぎゅっと拳を握った。 だからだろう。ガラスが手のなかで砕け散り、皮膚を切りつけていたのだ。 たらたらと床に垂れる血を眺めていると、じんじんと痛みが襲ってきた。 よく気づかなかったな、なんて思っていると、傷ついてないほうの手首を、辻宮に握られた。 辻宮が、焦ったような瞳を私に向けてくる。 「何悠長に構えてんだよこのバカ!!」 「え」 そしてそのまま辻宮は、私を連れていった。